前回までのアップデートで、新たなステムとシートポストが加わったルート号。「前輪への荷重割合を増やす」という目標は、果たして狙いどおり達成できたのでしょうか? 実際に重量配分を計測し、成果を確かめてみることにしました。
重量配分の計測方法
計測方法は下記のサイトを参考にしました。自転車探検隊!自転車用語 「重量配分」
https://jitetan.com/term17.html#juryo_haibun
デジタルの体重計と、それと同じ高さの台を用意し、自転車の前後輪を乗せてはかるという単純な方法です。計測はライダーが乗った状態で行います。
誰かに支えてもらうと簡単なようでしたが、壁ぎわに自転車を寄せて肘で軽く支えるようにすれば、1人でもはかれるとのことだったので、その方式でやってみることにしました。
さっそく準備して部屋の片隅で始めてみると、これが思いのほか難しく、バランスを取ることすらままなりません。
それでも10回、20回と繰り返すうちに、次第に同じ姿勢を維持できるようになり、数値のバラつきも収まってきました。
なるべく実情に即したデータが欲しかったので、壁に触れている肘には極力体重をかけず、平地走行時を意識した姿勢でポーズを固定。数値が安定するようになってから、前輪・後輪それぞれ10回分を記録し、その平均を計測値としました。
これを先ほどのサイトにある計算機に入力すると、前輪・後輪の重量配分がパーセントで表示されます。
改造で重量配分はどう変わった?
自転車の重量配分について事前にいくつか調べてみたところ、後輪60%~55%、前輪40%~45%あたりが適切な荷重割合とされているようです。けっこう前にかかるものだなぁという印象ですが、さてルートの場合はどうでしょうか。以下の三態で重量配分を計測しました。
- 一連の改造前
- ステム追加後
- シートポスト交換後
1.今回の改造を施す前
- ステム突き出しなし(ルート標準)
- シートポストのセットバックあり
- ハンドルとサドルの高さはほぼ水平
まずは一連の改造前の状態です。ある程度予想はしていましたが、後輪への重量配分はまさかの68.8%。7割に迫ろうかという数字です。ハンドルとサドルが水平の状態でこれなので、よりアップライトな乗車姿勢であれば、後輪荷重割合が70%を超えることも考えられます。
2.Tern Andros Stem取り付け後
- ステム突き出し65mm
- シートポストのセットバックあり
- ハンドルとサドルの高さはほぼ水平
続いてAndorsステムを取り付けた状態で計測。シートポストはそのままです。前輪荷重は31.2%→36.3%に、後輪荷重も68.8%→63.7%へと大幅に改善。ステムの突き出しによってハンドルが遠くなり、上体を前に預けるようになった結果でしょうか。
3.シートポスト交換後
- ステム突き出し65mm
- シートポストのセットバックなし
- ハンドルとサドルの高さはほぼ水平
最後にシートポストを交換した状態で計測。セットバックの有無(サドル位置)が焦点でしたが、期待に反して荷重割合への影響は限定的。前輪荷重が36.3%→37.9%、後輪荷重は63.7%→62.1%と、小幅な変化にとどまりました。
明らかになった後輪への偏り
ルートの重量配分を調べてみて印象的だったのは、やはり後輪にかかる荷重割合の大きさです。「日本工業規格 JIS D9301 一般用自転車」の、操縦安定性に関する項には、次のように書かれています。
サドルを最後方位置にし、 適応乗員体重の±5kgの乗員が その最後方部に座乗して、 両手でハンドルにぎり部をつかんだときに、 自転車及び乗員の合計質量の25%以上が 前車輪にかからなければならないいちばん後ろ寄りにセッティングして乗った状態でも、前輪の荷重割合が25%を下回ってはいけませんよ、JISの操縦安定性基準から外れますよ、ということですね。
無改造のDAHON Routeはハンドルの位置が高く、カラダを起こした乗車姿勢が基本となっています。そのうえ他よりシート角が寝ているわけですから、上の条件を当てはめて計測した場合、ギリギリの数字になる可能性もあります。
折りたたみ小径車特有の事情もあるのでしょうが、それにしても後輪に偏りすぎではないか? というのが率直な感想です。
この特徴的な重量配分がステアリングのフラフラ感に一役買っている、と見て間違いないでしょう。
ステムの効果は絶大
今回の計測の結果から、ルートの重量配分はステム次第で大きく変わるということがよくわかりました。同時に、ステムによる突き出しはステアリングフィールをマイルドに味付けし、コックピット長にも余裕をもたらします。ルートに取り付けて損のないパーツと言えるでしょう。
一方シートポストの交換については、期待したほどの効果は得られませんでした。
ただ、セットバックをなくすことでクランクとの位置関係が適正化され、乗り換えたときの違和感は薄れるはずなので、ロードバイク等の自転車と使い分けている場合には、交換を検討してみるのも良いかもしれません。軽量化にもつながります。
ルートにふさわしい重量配分とは
不安定なステアリングをどうにかしたい、というところから始まった今回の改造。先ほどのJISの当該項目を読んでもわかるとおり、重量配分と操縦安定性には深い関わりがある ということは確かなようです。しかしながら、どれほどの重量配分がふさわしいか?という点については、議論の余地もあろうかと思います。
ルートは20インチの折りたたみ小径車なので、ロードバイクのような重量配分に近づけることが、必ずしも正解ではないのかもしれません。乗り手の好みや用途などもひっくるめて、 さらに煮詰めていく必要がありそうです。
自分もRouteがフラフラする〜、とかクレームを受け、SatriでもNGだったので、結局Dahon falco買っちゃいました。クロモリは柔らかいのりごごちでいいすよ。とは言っても自分はRoteを乗らなくてはいけないので参考になります(しかしsatriのポジションチェンジャーはfalcoのハンドル高調整に使われてしまったので、体重移動で対応するかww)
返信削除mobazouさん、こんばんは!
削除Falcoいいですね~。
Routeは現行ラインナップの中でも1,2を争うガチガチフレームなので、
乗り心地に関しては仕方ないですね。
ステムなしで体重移動も大変なので、
やはりここはもう一度ステムを取り付けるのはいかがでしょうか。
あるいは買い物専用マシンとして前かごを付けるとか。
現行モデルならラゲッジトラスを付けられるんですどね。(うらやましい)
ホイールはおかげさまで幅を短縮してDashのお下がりを付けさせてもらいました。しかしママチャリ仕様のRoute君も世話焼けますね〜w
返信削除>ママチャリ仕様のRoute君も世話焼けますね〜
削除ここが良いところですよ。
よりいっそうの愛着が沸こうというものです。
まあ手がかからないならそれに越したことはないんですけども(笑)