我がルート号における最後のフロンティア、それがヘッドセットであります。この部分はだけは購入当時のまま、手つかずの状態で残されておりました。

ここにきて何か不具合が生じたというわけでもなく、このままでもまったく構わないのですが、やはりルートくんには末永く活躍してもらいたい。

というわけで、遅ればせながらヘッドセットの整備に取り組むことにしました。

いったいどうやって分解すれば……?


まずはヘッドセットネジ、ハンドルポスト、フォークを外し、上下ワンのカバーと、センタリングスリーブを取り除きます。



そもそも、何故これまでヘッドセットに手を付けなかったのかといえば、パッと見、構造がよくわからなかったというのがその理由ですが、あらためて見直してもやっぱりよくわかりません。どうなってるんですかねココ。なんだかとっかかりのない見た目です。



何か手掛かりになるようなものはないかと、ライトを当てながらつぶさに観察していくと、ムムッ! チューブ内のワン内側に止め輪らしきものを発見。これなのか? どうやらこの止め輪(サークリップ)を外せば、ヘッドセットを分解できるようです。

ならばさっそく…… いや、待てよ。どうにも危険な匂いがしてきました。まず、どうやってこの内側の止め輪を外すのか、そして外した後、果たして元に戻すことができるのか。

手を出しやすい外側に止め輪があるのならともかく、ヘッドチューブ内側にあるのでは、最後に止め輪をはめ込む作業が難航しそうです。う~ん、これは危ない。

現時点でヘッドセットに異常があるわけでもないし、やはりここで止めておくのが正解なのかも……。

いや!今回こそはヤルのです!

強引に分解してみると……

分解時に下玉押しが落下してしまうことを想定し、あらかじめテープで仮固定。止め輪は何かで引っ掛けて持ち上げれば外れるとみて、ゼムクリップの先端を鉤状に曲げたものを使うことにします。



内側から止め輪の端っこを突っつきまわすこと数十回。先端が上手いこと引っ掛かり、ようやく外すことができました。その下ワンからポロッと出てきたのが上の画像の品々です。なんのことはない、普通の玉押しと小さなベアリング球であります。

見たことのあるサイズだなと思ったら、ボスフリーの中子やペダルなどに使われているものと同じ、1/8インチのベアリング球でした。それが34個入っていました。(下ワン側)

構造的にはロープロファイルのアヘッドセットで間違いなく、シールされたカートリッジベアリングの代わりに、カップアンドコーン式のバラ玉ベアリングが回るというものでした。

アヘッドタイプなのでネジは切られておらず、玉押しは内側の止め輪によって保持されています。止め輪を用いて玉受け・玉押し・鋼球を一体化することで、疑似的にカートリッジベアリングを再現しているような感じですね。おそらくコスト的に有利な、安上がりな構造なのでしょう。

カップアンドコーンの玉当たり調整にあたるプリロードは、ヘッドセットネジの締め込み具合で行うことになります。



古いグリスや汚れを落としてみると、下ワン(玉受け)、玉押し、ベアリング球、すべて異常なし。グリスアップして戻すだけで良さそうです。



あとはこの溝に首尾よく止め輪を戻すことができるのか、そこにかかっています。



グリスをべたべたと塗りまして、ベアリング球をカップに並べ、玉押しで蓋をします。落ちないよう再度テープで仮固定したらひっくり返し、いよいよ止め輪の再装着にとりかかります。

再組み立てにイライラMAX


危惧していたとおり、この作業が困難を極めました。暗くてよく見えない、グリスで滑る、指が1本しか入らない、中指以外届かない、反対側からアプローチしても上手くいかず、もどかしくてイライラしてくる、と最悪です。ダホンの工場でこの部分を組み付ける際には、何か特別な工具でも使ってるんでしょうかね。(一体にした状態でユニットごと圧入しているのかも?)



この止め輪がなくても、フォークを挿し込んでしまえばヘッドセットとしての機能には影響がなさそうだったので、もう取り付けなくてもいいかなと諦めかけましたが、マイナスドライバーやピンセットなども動員し、40分近く格闘した結果、どうにか元通りにはめ込むことができました。ひーやれやれ。

わざわざ分解せずとも……

この作業ですっかり懲りてしまったため、残る上ワン側は早々に分解を断念。隙間からグリスを流し入れる方法に変更し、スプレータイプのグリスを吹きかけることにします。



5-56のようなオイルスプレーとは違い、これは文字どおり「グリス」のスプレー。運搬役のガスはすぐにシュワシュワと抜け出てしまい、あとにベタッとしたグリスだけが残るというシロモノです。

中まで入らなかったグリスがけっこう残りますが、隙間に集めてベアリングを回すと少しずつ落ちていきます。これを二度、三度と繰り返してから、あとは余計なグリスを拭き取っておけば、大体OKじゃないでしょうか。

まとめ

結局、下ワン側は分解・洗浄してグリスアップ、上ワン側は隙間からグリスを流すという、中途半端なヘッドセット整備となってしまいました。

止め輪が内側にあるということからしても、通常の整備では分解を想定していない部分のようです。

苦労して分解したところで大したメリットもないので、基本的には、隙間からスプレーグリス等を流し込む方法で潤滑を維持するのが、簡単で良いのではないかと思います。

とくに通勤・通学などで天候に関係なく走る方や、ルートに乗って年間かなりの距離を走る方、やむを得ずルートを屋外保管している場合などには、しっかりグリスを入れておくほうが良さそうです。

4 件のコメント :

  1. 昨年8月にrouteを購入しました。
    無垢で曲線的なスタイルにポリッシュ色が
    あったので他車を検討することは
    ありませんでした。
    前車はPanasonicの電動折り畳みでしたので
    多少の重量アップは問題なく考えてました。
    タイヤはビッグアップルを、シートポストは純正のサスペンション付き、同じく純正のF&Rツーリングキャリアに、ルイガノ製の重量級のFバスケットをrouteに移植。
    見かけはフルアーマーroute(笑)
    自転車屋さんも車種の見分けが・・・?
    折角 移植したからと春までは
    何とか頑張ったのですが、この酷暑(東京都)。
    軽量化ということが頭に浮かび
    'ぽんた'さんのブログに出逢いました。
    当然バスケット&キャリア&フェンダーを外し
    タイヤをマラソンスプリーム、
    BBをタンゲ7922を装着し
    ハブのオーバーホールし
    シマノのデュラエースでグリスアップ。
    情けないことに自転車屋さんに
    お願いしました(^_^;)
    タイヤは極細、ホイール交換も
    検討しましたが私自身ヘビー級、
    予算の都合上 断念した次第です。
    但しスプロケットだけはエンド幅126㎜を
    遵守したIRDの13-24に交換。
    重量はサスペンション付きシートポストが
    原因で純正routeと殆ど変わりませんが、
    タイヤとBBとグリスアップでここまで
    乗り味が変わるのかと驚きです。
    ありがとうございました。
    またブログの更新を
    楽しみにお待ちしております。

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    1. Route20さん、こんばんは!
      そうなんです!
      ちょっと手を加えてやれば、
      見違えるように良く走るようになるのがルートですよね。
      Route20さんのルート号、まさに当を得た改造ですね!
      期待に違わぬ走りを見せてくれていることと思います。
      値段なりの部分も確かにあるDAHONルートですが、
      手がかかるぶん愛着もひとしお。
      私自身もルートに乗り始めて2年半、
      あらためていい自転車だなぁと実感しています。
      不定期更新ブログではありますが、
      気が向いたらまた覗きに来ていただければ幸いです。
      ルート号と共に楽しいサイクリングのひと時を!

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  2. 先日2016年モデルのRoute(白)を購入致しました。
    勿論、こちらのブログを拝見していて強烈に影響を受けたからです!!
    早速ぽんたさんお勧めの初期整備を始めています。毎日ワクワクして堪りません!!
    勝手ながらお礼を兼ねてコメントさせて頂きました。

    ぽんたさんのRoute号はこれ以上の改造はされないのでしょうか。
    またブログ更新を楽しみにしております。

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    1. Paiさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      そして!ルートのご購入おめでとうございます!
      いやぁ、ちょっとした整備でもホント楽しいですよね。
      重ねるごとに愛着が増すこと間違いなしです!
      現行モデルのルートは改造ベースとしてもたいへん優れているので、
      なおのこと夢が膨らみますね。

      最近ブログのほうは記事の更新が滞っておりますが、
      私のルート号も無事元気で走っております。
      年明けぐらいまで暖冬だったこともあって、
      例年の冬なら清掃して春まで仕舞われてしまうところを、
      冬眠することなく活躍しておりました。
      ただ1月後半からは本来の東北の寒さに戻ってしまったので、
      3月まではしばし休憩となりそうです。

      ルート号のさらなる改造はいまのところの予定していませんが、
      そのうちなにかやってみようかと思っています。

      Paiさんもルート号と共にたのしい自転車ライフをお過ごしください!

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