ルート号に乗っていて、これまでありがたいことにパンクというものに遭遇したことがありません。単に幸運なだけなのか、それとも履いているタイヤのおかげか……。 その両方でしょうか。

いずれにしても油断は禁物。やはりここはいろいろと再確認しておくべきではないか。そう思い立ったところで、すっかり忘れていたあるブツのことを思い出しました。そういえばあの「変り種」を放置したままだったと。

現在ルート号改で使っているシートポストは、Biologic Zorin PostPumpというもの。空気入れとしても使えることでお馴染みの、一風変わったシートポストです。

この最大のセールスポイントを「重いから」という理由のみでキャンセルし、中身のポンプを抜き取った状態で使用しておりました。

しかし果たしてそう簡単に見限って良いものだろうか。せめてその性能や使い勝手を試してから判断してはどうか?

ということでガサゴソと家中を探し回り、生き別れのシートポストと中身のポンプが感動の再合体! 手持ちの携帯ポンプ・フロアポンプと共に実際に空気を入れて、使い勝手を確認してみることにしました。

ポンプ5製品で使用比較


今回エントリーするのは以下の5製品。

  • airbone スーパーミニポンプ
  • LEZYNE PRESSURE DRIVE Sサイズ
  • TOPEAK Mini G Master Blaster
  • BioLogic Zorin PostPump
  • TNI フロアポンプ(参考)

これらを使ってルート号の前輪に空気を入れ、その使用感を確かめます。
履いているタイヤは、

  • Schwalbe Marathon Racer 20"x1.50(40-406)
  • 空気圧 3.5bar(50psi)~6.0bar(85psi)

タイヤの空気がほぼ抜け切った状態から、最大限のストロークを使ってポンピングを繰り返し、下限値3.5bar、上限値6.0barに到達するまでの、おおよそのポンピング回数をカウント。主観的な疲労度と合わせて比較します。

空気圧はパナレーサーのタイヤゲージで測定。計測単位がKPaとkgf/cm2のみのため、KPaの表示をbarとして読み取ることにします。

airbone スーパーミニポンプ


まずは小さく軽いことでお馴染みのairbone。他社の延長ホースと組み合わせて使用します。短いストロークを活かしてリズム良くポンピングを繰り返し、300回で2.2bar、500回で3.2bar、700回で4.2bar。1000回を超え、1050回付近でようやく6.0barに到達しました。4.0barを過ぎたあたりから抵抗が増し、5.0bar以降は両手でつかむやり方では困難になり、 片側を地面(床)に押し付けてのポンピングに変更。この携帯ポンプに延長ホースは必須です。ポンピング回数から受けるほどの疲労感はないものの、手のひらが真っ赤になってしまいました。しかしマラソンレーサーの下限値である3.5bar程度なら比較的ラクに入る印象です。延長ホース併用で、6.0bar以上も不可能ではありません。

LEZYNE PRESSURE DRIVE S


続いてairboneよりやや大きいLEZYNEのポンプ。コチラは延長ホースが標準で装備されています。ポンピング180回程度でマラソンレーサー下限値に到達。このあたりまでは余裕でした。300回で5.6bar、350回付近で上限値6.0barを超えました。しかし、案外使いにくい一面もある製品です。ホースの都合で、片側を地面や壁に押し付けて使う、というようなことができないため、 抵抗が増してくるとポンピングが困難になります。カタログ上は120psi(8.25bar)まで加圧可能なようですが、実際には厳しいですね。ポンピング回数とは裏腹に疲労度はairboneと大差ありません。

TOPEAK Mini G Master Blaster


3つ目はトピークのミニポンプ。この製品の特長は押しても引いても空気が入るところ。1度のストロークで2度空気を送り込める構造です。このおかげかポンピング120回程度で下限値を通過。その後も順調に空気を送り続け、250回付近でマラソンレーサー上限値に達しました。前出の2製品より少ない回数です。しかし延長ホース式と比べると使いづらいことは否めません。バルブを上に置いて、下方からポンプでくわえ、スポークに指を掛けつつ、ストロークを繰り返します。これは抵抗が少ないうちは良いのですが、圧が高まってキツくなってくると、ポンプの保持が徐々に困難になってきます。

BioLogic Zorin PostPump


最後に今回の本命、シートポストポンプです。事実上のフロアポンプのようなもので、一度のストロークで送り込む空気の量は、他の小型携帯ポンプの比ではありません。25回で3.8bar、40回で5.7bar、50回で6.6barと圧倒的。偶然にもサイズが似ているTNIフロアポンプと同じような空気圧の推移をたどりました。高圧になると体重を乗せて押す必要が出てきますが、 この点は単体フロアポンプでも同様です。7.0bar(約100psi)までいけるか試してみたところ、55回で7.2barに到達。まだ上を目指せる手ごたえでした。ただ7.0barを超える高圧になってくると、さすがにフロアポンプとは剛性面で差を感じます。フロアポンプは7.0barを過ぎてもしっかり押せますが、ポストポンプは構造上不安定なところがあって、ストロークを十分に活かすことができませんでした。それでも7.0bar程度までなら比較的余裕があります。

加圧能力はポストポンプの圧勝だけれど……

airbone
(66g)
LEZYNE
(90g)
TOPEAK
(167g)
BioLogic
(733g)
TNI
フロアポンプ
3.5bar 550 180 120 23 23回
6.0bar 1050 350 250 45 44回

このように、空気入れとしての能力は、BioLogicポストポンプが圧倒的に優れていました。シートポスト込みで約730gという重さを許容できるのであれば、これほど頼もしい携帯空気入れは他にありません。

一方で、その絶対的な能力とは別に、実際のシチュエーションから考えてみるとまた少し違ってきます。

携帯ポンプというのは、出先でのパンクに備えて用意するもの。ゆえに、邪魔にならずに持ち運べて、走行するのに十分な空気を入れる能力があればとりあえずはOK、ということになります。

これらのことを今回のポンプに照らし合わせてみると、前出の4製品どれを用いても不都合はありません。

となるとあとはいかに使いやすいか、そのうえでなるべく携行しやすいものを、というところがポイントになってきます。

今回使用したポンプの中から選ぶとすれば、airboneBiologic Zorin Postpumpの二択でしょうか。前者は片側を地面に押し付けてポンピングする方法がとても便利で、高圧・高負荷時にも力負けしません。そのうえ小さくて軽い。後者は重さに目をつむって余りある空気の入れやすさと、シートポスト内に隠れる携行性の良さが利点です。

この2つのポンプなら、どちらを選んで持って行ってもいいかな、という気がしました。

まとめ

今回試したBioLogic Zorin PostPumpは、実はすでにアキボウの扱うダホン純正オプションからは外れており、国内では購入の機会も少なくなってしまいました。その代わり、ターンの純正オプションとして、BioLogic PostPump 2.0という製品が出ています。

2.0と旧タイプとの違いは、洗練された外観のほかに、フットステップ、バルブコネクタ、ホースが新しくなっています。実際、今回試した旧タイプは、踏みづらいステップ部分、固いホース、扱いづらいコネクタなど、やや不満な部分もありました。これらが改善されているとすれば、2.0は十分「買い」ですね。ポンプの加圧能力自体に違いはないようですが、シートポスト全体の重量はわずかながら軽くなっています。

BioLogic Zorin PostPumpの空気入れとしての実力は十分。中身を抜いて放置していた製品ながら、今回試してみてポストポンプに対する認識を新たにしました。シートポストの購入を検討しているのであれば、このBioLogic PostPumpを候補に入れてみるのも良いでしょう。

2 件のコメント :

  1. 自分の結論はCO2ポンプす。一度出先でパンクし携帯ポンプで入れようとしたら入れ方わからずww 近くのサイクリーで入れましたが、後で入れてみるときつ過ぎでした。シートポストポンプも良さげですがCO2はちっこいすよ(まだ買ってないですけどww)

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    1. Taizoさん、こんばんは!
      CO2いいですよねー。
      私もロード用に購入を検討しています。
      ルートにはまあ手動ポンプでいいかなというところです。
      せっかく複数ポンプを持ってますし、またロードのタイヤと違って、
      1.5幅のマラソンなら5~5.5barぐらい入れば実用上は十分というところなので。

      手動ポンプも確かに空気を入れる際のコツは要りますよね。
      慣れてしまうほどの回数パンクに遭遇したくない!という気もしますが(笑)

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