DAHON Route カスタマイズ #16 ハンドルポストのガイドと回り止めを工夫してみる


忘れたころにやってくるルートカスタムシリーズ! 今回はハンドルポストのガイドと回り止め。この部分をどうにかしようという試みです。

なにが問題かって? 雑なんですよ、ザツ! このテレスコープ部分。造りが大雑把すぎるんですよね。



画像のように、上部ポスト(インナーポスト)にはミゾが、下部ポストの内側には突起が設けられており、これをガイドにしてハンドルが上下する仕組み。突起は同時にインナーポストの回り止めも兼ねています。

この部分の噛み合わせがとにかくルーズ! 上下のみならず、左右回転軸方向にも動きます。左右に±3~5度ぐらいでしょうか。

そのため、クイックを無造作に締めただけでは、ハンドルと前輪がズレた位置で固定されてしまいます。

そこで毎回、ズレないよう各部を手や足で押さえ、ハンドルとホイールが正しく十字であることを確認し、その状態をキープしながら、いまだ!とばかりにテレスコ部のクイックを締める、 という乗り出しの儀式が必要になってくるのです。

この儀式にかかる時間はせいぜい10秒ほど。しかし毎回となるとけっこう煩わしく感じます。せっかくの公称15秒という展開所要時間も台無しです。

また、ハンドルポストの回り止めという点でもいまひとつ。使用中に気づいたら上部ポストだけが動いてズレていた、ということも一度や二度ではありません。テレスコ部のクイックをとにかくガッチリ締め上げることで対処している方も多いんじゃないかと思います。

これらの現象はなにもルートに限ったことではなく、テレスコ式ハンドルポストを採用しているダホンのモデル、そのすべてで同じような状況になっているはずです。

なぜここがこれほど大雑把な造りなのか不明ですが、もう少し工夫があれば展開時の調整作業が簡略化され、同時に回り止め効果も増すに違いない!ということで、無い知恵を絞ってみることにしました。

新たなガイド&回り止めを作る


さてどうしたものか。まず考えたのは既存の突起やねじ穴を活かす方法です。しかしどうも良い案が浮かびません。



そこで、このスリット部分を活かしてみることにしました。上部ポストの外側に新たな突起を取り付けて、それをこのスリットに落とし込む方法なら、 作るのも簡単だし効果もそれなりに期待できそうです。



スリットをガイドとして使うためには、クランプをきつく締めた状態のスリット幅よりも突起部分がわずかに細くなければいけません。突起のほうが太いと締める際につっかえてしまい、十分な固定力を得られないためです。

きつく締めた状態のスリット幅を測ってみたところ、約3.5mmということろでした。なので突起は3.3mmから3.4mm程度を目安に製作します。



材料はホームセンターにある4mm径のアルミ丸棒です。まずはそれにM4x0.7のダイスでねじを切ります。



完成品は全長10mm程度になりそうですが、最初からそのサイズに切ってしまっては作業が困難なため、全長40mm程度の丸棒をベースにして作っていき、最後に両端をカットして長さを整えることにします。

私のようなド素人によるダイス加工は斜めに食い付いてしまうことが多いらしいのですが、ねじを長めに作っておけば不細工な部分をカットして使うことができるので、その点でも好都合です。



バイスに固定したら切削油を垂らし、十分な長さを得られるまでねじを切っていきます。



上の画像は余分なねじ部分をカットした後の状態です。どうにか使える程度のねじは作ることができました。



突起側もカットします。



上の画像の状態で全長12mm程度です。ねじ部が7mm、突起部が5mmぐらい。



続いて、上部ハンドルポストに突起を取り付けるための穴を開けます。締めた状態のスリットの形をあらかじめ鉛筆でなぞり、穴あけ部分にポンチで当たりをつけておきます。



M4のタップに適した下穴径は3.3mmだそうです。しかし手持ちのドリルビットを漁ったところ、わずかに細い3.2mmのビットしかなかったため、それを使って下穴を開けることにしました。



穴が開いたらM4x0.7のタップでねじを切っていきます。適正サイズよりわずかに小さな下穴ながら、問題なく切り進むことができました。



出来上がったねじ穴に突起を取り付けてみました。ねじ切り自体は上手くいったようです。



この時点では突起はまだ4mmの太さがあるため、障害になってクイックを締め込むことができません。



そこでクイックを締めたときのスリット幅3.5mmよりわずかに細い3.3~3.4mm程度の幅になるよう、突起の両側面を削ります。



ついでに見た目も少々整えて再装着。こんどはクイックもしっかり締めることができました。

効果のほどは?


取り付けてから何度か展開作業を繰り返してみた結果、位置決めガイドとしては文句なし! もう「儀式」は不要です。突起をストンとスリットに落とし込んでやり、そのまましっかりクイックレバーを締めるだけ。それだけでハンドルと前輪が正しく十字の関係になります。乗り出す際の調整作業がひとつ少なくなりました。



一方、回り止めとしてはどうかというと、強度がやや不足気味かなという印象です。上部ハンドルポストのパイプ厚は約2.5mm。そこに穴を開けピッチ0.7でねじを切ると、出来上がるねじ山は3つと半分ぐらい。転倒などで想定外のインパクトやトルクが加われば、おそらく突起が破損するのではないかと思います。ねじ込む際に2液混合エポキシなどで接着すれば、強度的にいくぶん向上するかもしれませんが。

しかしそもそも上部ポストの回り止めに関しては、テレスコ部のクイックをしっかり締めることが大前提。その補助としての回り止めであれば、この突起でも十分に役目を果たします。

まとめ

一連の作業を終えて思ったんですけど、突起をわざわざアルミ丸棒から作るまでもなく、M4のイモねじ(ホーローセット)や、M4寸切りボルトを適当なサイズにカットして、それを突起として利用したほうが早かったかなと。



ともあれこの簡単な工作を施したことで、展開時の煩わしさは多少軽減されました。これといったデメリットは生じないはずですが、あえてやるほどでもないと言われれば、まあそうかも(笑) でも毎回のように展開するユーザーからすれば、地味に助かる(かもしれない)プチカスタムですよ!




*追記: 少し改良しました

Androsステムの導入に伴い、インナーポストも新しくT型のものに交換しました。 が、このT型がどうにも困ったヤツで、標準インナーポストにも増して回りやすく、ガッチリ締め上げても必ず動いてしまいます。(表面が少しツルツルしている) ということで、こちらにもガイド兼回り止めの突起を取り付けることにしました。



今回は改良というか少し工夫をしまして、ねじの先端がインナーポストの内側奥に当たるようにねじ部分の長さを伸ばしました。こうすることで回転軸方向への強度が格段に増す、ということに気付きました。突起に指で力を加えてみると、かなりガッチリとした手ごたえを感じます。



ついでに突起の位置も少し下げてみました。下のほうがスリットの変形量が少ないんですよね。というか最初から、この位置この形で作るべきでした。なぜ気付かないのか?(笑)

突起は黒く着色してみましたよ。

12 件のコメント :

  1. 初めてコメントさせて頂きます。
    我が家のボードウォークも同様に"乗り出し儀式”がありますが、大変参考になりました!

    しかし、まずは工具から調達しないと・・・

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    1. debu王子さん、こんばんは!
      ボードウォークでも儀式が必要でしたか!
      やはりそうですよね。
      ホント大雑把ですもんね、テレスコ部の造りが。

      作業に使ったタップ&ダイスは安物のセットです。
      この程度の工作なら素人の腕と安価な工具でも、
      どうにかなるようです。
      よければボードウォーク号のポストにも、
      ちょちょいと取り付けてみてくださいね!

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  2. お疲れさまです。これいいすね。一度スマホからコメしたけど消えちゃったみたいです。
    別件ですが自分のRouteは別の原因でハンドルが回っちゃいました。相方がコケたせいなのか、フォールディングバイクは整備しないとそうなってしまうのか、ハンドルとフォークを止めている部分がゆるくなってしまいました。
    ハンドルを折りたたむと見える大きな六角穴のあるところを締めるだけではだめで、横向きのボルトを閉めないと固定されないようです。タイヤを足ではさんでハンドルを左右に振ってみると緩んでいると回ります。
    その他にも使っていると折り畳み機構が緩むので定期整備項目とかつくってほすいなぁ。
    ちな、整備にあたってはハンドルの折り畳み部の2つのネジはいじると折り畳め無くなるという落とし穴もあるので気をつけてください。

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    1. Taizo Yamamotoさん、こんばんは!
      そうそう、そうなんです。
      折りたたみ自転車って、可動部が多いせいか、
      けっこうあちこち緩んでくるんですよね。
      ダホンのヘッド回りは少々特殊なので、わかりにくい部分もありますね。
      ヘッドセットネジの六角なんてM10ですから、
      出先でガタが出ても直せませんもんね。
      この手の要警戒箇所については、
      確かにチェック項目一覧があったら便利ですね。
      記事にしてみようかな(笑)

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  3. あ、よく見たら前の前あたりで整備されていましたね・・

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    1. ポストの付け根部分のネジは確かに緩みやすいですね。
      オーナーズマニュアルには、
      このネジにロックタイト222(242)を塗るよう書かれてるので、
      そのうち対処してみようと考えています。

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  4. いつもこの儀式をしていますwww
    非常にいいですね。近所に大型ホームセンターが出来たので材料探してみます

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    1. shotaro Iさん、こんばんは!
      展開時のハンドル調整はもはや、
      ダホン乗りにはお馴染みの儀式かもしれませんね(笑)
      最近は調整不可の一体型ポスト採用モデルが増えてきたので、
      この手の不満も少なくなったのかもしれませんが。

      突起取り付け後にわずかなズレがある場合には、
      ポスト根元の位置を調整することで微修正が可能です。

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  5. はじめまして。
    ボードウォークに乗っていますので、
    伸縮ハンドルポストのガタについてはいつも鬱陶しく思っています。
    何か良い方法はないのかと思っていましたら、ぽんたさんのブログに行きつきました。
    やはり皆さんも微調整の「儀式」をしているのですね。
    メーカーでも、そこを改善してもらいたいですね。

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    1. Unknownさん、こんにちは!
      やはりみなさんこの部分には不満のお持ちのようですね。
      おっしゃるとり、メーカーがなぜ改良しないのか不思議です。
      ただ、テレスコ式は徐々に採用が減ってきているので、
      そのうち一体型のみになってしまうのかもしれませんね

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  6. ぽんたさん、こんにちは。
    私も何とかして解決してやろうと、一手間、いや二手間くらいかけました。
    https://blogs.yahoo.co.jp/clsyndrome/19901528.html
    調整箇所が増えるのは乗り手の好みに合わせられる利点もありますが、メーカー側はこの機構については消極的なのかもしれませんね。

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    1. 匿名さん、こんばんわ!
      ブログ拝見しました!見た目にもスマートな解決方法で素晴らしいですね!私にもこれほどの工作技術があればと羨ましい限りです。
      折りたたみ小径車はワンサイズのことが多いですから、せめてハンドルの高さぐらいは調整できないと、乗り手の体格によってはポジション出しに難儀しますもんね。メーカーからすれば一体型のほうが面倒もないし軽量もアピールできるので、そちらに採用が傾いているのかもしれません。

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